かきたまじる

このブログは薬研沼どっぷりなガチャ好きのお子ちゃまがお送りします

ゲームブック人生

ずっとやりたかった展覧会の絵が、Amazonkindleで購入できることを知り、すぐ購入した。展覧会の絵とはゲームブックである。小説だが、選択肢が途中で現れて自分で行き先を決められる。その中でいろんな人に出会ったりものをもらったりいろいろしながらゴールを目指す。そんな本だ。

本を読みながらふと顔を横に向けると、そこには友人が座っている。
「そういえば」と、その友人が口を開いた。

ふと、思う。

「パラドキシカルってなんだっけ」

自分の人生にも選択肢がある。

友人はなおも話し続けた。ずっと画面を注視していたであろう友人はつぶやいた。「疲れた」と、ひとこと。

さあここで選択肢が出る。

疲れたことに労いの言葉をかけるならば1へ、それともパラドキシカルの意味を答えるなら2へ、無視するなら3へ。

この中から秒速で選ばなくてはならない。何も言わなければ無視することになる。

1ならば…。

と、私は思った。が、

「パラドキシカル?なんだったっけ、あははわかんないや」
口ではいつの間にか2を選択していた。

自分で調べてみようと言わんばかりにおもむろにスマホを取り出す友人を見て思った…最初からそうしたら早いのになぜ聞いた。

たぶん友人にも(夢にも思ってなさそうだが)選択肢があるのだろう。パラドキシカルの意味がわからなかった。なぜか自分と一緒にずーっと残っている意図の読めない人間に尋ねてみるか、スマホで調べるか。わざわざ前者を選んだことにさほど意味はなく、世間話のノリなのだろう。

しかし私という人間は邪推が激しかったので深く考えそうになる。

それからしばらく展覧会の絵を読み進めていると、3枚目の絵が終わった。

帰れ帰れ帰れと、心の中でこだました。ずっといてはならない。ここにいてはならない。警笛がかんかんとうるさく鳴っている。追い打ちをかけるように、友人が言った。

「帰らないの?もう夜も遅いし」

別に真っ暗な中帰ることはさしたる恐怖ではない。なぜならば私は毎朝3時に家を出るのが日常化しているからだ。

またここで選択肢が発生する。
おとなしく従うなら4へ、それでも残るなら5へ。

「…まだ、この本の続き読みたいからいる」

嘘だ。厳密に言えば嘘ではなくいちおう本当だが、本音は別だ。あまのじゃくだから言わなかった。本音を言ったところでこの友人が一蹴することはとうの昔に分かっている。

しかし、だ、前にこの友人や別の人にも口酸っぱく言われている。言わなきゃ伝わらんこともある、と。

言えばいいのか。言うなら6へ。やっぱり言わないなら7へ。






わかって、いた。
いたはず、なんだが。やはり一蹴される。うん、まあ分かるさ…友人にとって私はただの友人なるものだから仕方ない。友人をいまだにただの友人扱いできない私は今とても死にそうだ。どこで選択肢を間違えたのだろう。同じところをぐるぐる回っているな。あーあ去年の11月6日に戻って選択肢を選びなおしたい。できないけど。そういえばこの友人や別の人はこんなことも言ってたっけな。過ぎたことはもう気にしないほうがいいって。

そうだな。人生にズルもセーブポイントもない。選択肢を選び終わったらもう、戻れない。その結果がどう転ぶかそんなものは、神様にも分からないのだ。

押してダメなら引いてみろ、とは有名な恋愛の駆け引きの言葉だ。今度は引いてみようか。まあ無理だけど。今日はだめだった。負けた。

「今日は勝てなかった」と帰り際つぶやいた。
「書けなかった?ああ原稿?」と物凄い勘違いをされた。
「違う、勝てなかった。だから来週の火曜日は頑張るね、よろしくね」
たぶん意味わかってないであろう友人とさよならをしてわかれた。
written by iHatenaSync