かきたまじる

駅メモ・リヴリー・ノベルゲームが好き

今年の花見の話

道を歩く。雨が降り続けていた。タバコの吸殻、ごみ、水たまり、前を歩くビジネスマン、スタバの看板、いろいろなものが目に入る。今日は何か、できただろうか、自分にしかできないことはきっとないけど、自分ができることは、しっかりやれたのだろうか。足取りは重い。もう日はすっかり暮れている。夜行バスを待つ間、ネットカフェにでも滞在しようと思い、重い足をひきずる。しとしと降りしきる雨がスマホを濡らす。

 

私のスマホは雨の日に向かないな。なんてったって、本革にメモ帳がついているのだから…本革に水は大敵である。水がつくとそこが変色し、目も当てられないひどいまだら模様が刻印されるのだ。もっとも、しばらく経てば、元に戻るのだけど。こないだの豪雨の時はびっくりしたものだ。自転車のカゴにスマホを入れたら、家に帰るときはすっかりまだら模様になっていて、発狂した。数時間後、元に戻るまで、気が気でなかった。

 

煌々と光る看板を見つける。目的地に着いたらしい。もうここに来るのも3回め、グーグルマップがあっても迷う馬鹿だが、すでに道は覚えた。傘をたたむ。そしてふと上を見ると、灯りに照らされた夜桜が佇んでいた。そこでようやく、通りを見ると、きれいな夜桜が満開だった。今年の花見は、東京の八重洲でした。